洋風インテリアにスムーズになじむ日本のインテリア・アイテム10選
畳や生け花、掛け軸など、日本のインテリアデザインにおいては空間に存在するだけでそのスタイルを特徴づけるほどの強い個性を持った室内装飾アイテムが多く存在します。それぞれが非常に強い存在感を持っているので、そのようなアイテムはいわゆる西洋風の住居空間とは相性がよくないとお考えの方がいるかもしれません。確かに手あたり次第に日本由来のアイテムを西洋風のインテリアに取り入れてしまうと、途端にトータルバランスが崩れてしまうのですが、それぞれのアイテムが持つ素材の特徴や本来の目的を理解することで、上手にインテリアコーディネートを行うことが可能となります。その上、他の室内装飾アイテムではなかなか醸し出すことが難しいタイプの静謐さとエキゾチックな趣をアクセントとして自宅のインテリアに取り込むことができます。このように、日本由来の室内装飾アイテムを西洋風のインテリアにコーディネートすることは非常にユニークな取り組みがいのあるチャレンジだといえます。
本日はこのようなチャレンジに興味のある方にとって少しでもサポートになればと思い、数ある日本由来の室内装飾アイテムの中から特に西洋風の空間に取り込みやすいものを10点選んでみました。これらが、皆様のインテリアプランに少しでも参考になれば幸いです。
INDEX
障子
障子は木枠に和紙といった自然素材をもとに作られたパネル上の建具を指し、その原型ともいわれている遣戸は平安時代には誕生していたといわれています。透過性の高い和紙を使用しているため、空間を仕切るためのアイテムであるのと同時に採光性が高い点が特徴です。日本家屋では引き戸として用いられることが多く、実装のためには引き戸を実装するための溝も必要とするために、これらを伴わない西洋式の住居では引き戸式の障子をインテリアに持ち込むことはややハードルが高いものといえるでしょう。しかし、溝を必要としないdivider形式の障子もありますので、まずはこちらをインテリアに取り入れてみることをお薦めします。
布団
布団は日本で広く用いられている寝具で、上に横たわるための敷布団と上にかぶせる掛布団で構成されています。使わない際にはたたんで収納できる点が特徴で、ミニマリズム的なインテリア空間を確保する上で非常に相性の良いアイテムとなっています。こちらはベッドの上に敷いて使用することも可能ですが、その収納性を最大限に活用するのであれば、後述するタタミマットの上に敷くことを強くお勧めします。なお、英語圏でFutonという言葉が使用される際にソファーベッドを意味するケースもありますが、今回この記事で紹介している布団は日本で伝統的に使用されている寝具のことを指しますので、その旨ご注意ください。
盆栽
盆栽は観葉植物とは異なり、自然の風景で見られる松などの大木が持つ印象を可能な限り植木鉢の中に落とし込もうという発想のもと生み出されたものです。日本には当時の中国から奈良時代ごろにその文化がもたらされたといわれています。盆栽の維持にはこまめな剪定や枝を針金で固定するなどの工夫が必要となり、そこで求められる手間暇は時には観葉植物以上になることもしばしばです。ただし、そうした努力の結果生み出される盆栽の存在感は唯一無二のものであり、あなたのインテリアの中でユニークなアクセントとなることは間違いないでしょう。松以外にも盆栽には柿など実を鑑賞するもの、梅や桜など花を観賞するもの、楓など葉を鑑賞するものも含まれますので、その中からあなた好みのインテリアにあったものを選んでみるのもよいかと思います。
生け花
生け花は室町時代から江戸時代にかけて日本の美意識に基づいて確立されたフラワーアレンジメント芸術です。現在ではそのスタイルをめぐって多くの流派に分かれており、その求道的側面も特徴となっています。大きな特徴の一つとして、見る者に対して季節感を示唆するような花の選定を行うことがあげられますので、日本で良いものとされていたフラワーアレンジメントが必ずしもあなたの住環境ではよいものとはならない可能性が大いにあります。ですので、花の選定においては思い切っていあなたの地元の素材を取り入れていくことが生け花の根本精神に合致するものになると思います。ただし、アレンジメントに関しては、構成要素をミニマルにすることやアシンメトリーを心掛けるなど、日本の美意識に沿った方法を採用することで、インテリアに独特のアクセントをもたらすことに貢献します。さらに言えば、花瓶に関しても和風の陶器を使用することをお薦めします。
座椅子
西洋と比較して特徴的な日本の生活習慣の一つが「室内で床に座る」という習慣です。このことから、胡坐や正座など日本独特の座り方が生まれ、さらに床に座る際の心地よさを追求した畳や座布団などの文化が生まれたといえそうです。座椅子もそんな「床に座る文化」の中から生まれた日本独自のユニークなアイテムで、元々は正座で長時間座り続けることの苦痛を軽減するために生み出されたようです。なお、導入のハードルがやや高いことから今回は紹介を見送ったのですが、座椅子は日本独自の暖房設備である「こたつ」との相性も抜群ですので、興味のある方はぜひ調べてみてください。先に述べた通り、座椅子は床に直接座ることを想定したアイテムになるので、土足が一般的な住環境ではうまくマッチしませんが、近年ではアメリカでも室内で靴を脱ぐ習慣が浸透しており、そうした住環境では座椅子を導入することも検討できるのではないかと思います。
提灯
今日でも人気の高いイサム・ノグチ作の室内照明である「AKARI」は、日本の提灯(岐阜提灯)をモチーフにしていることは広く知られています。使用されている素材も提灯同様にサステナブル素材である和紙と竹が使用されており、そのコンセプトはむしろ今日においてより必然性を高めているのではないかとさえ思ってしまいます。日系アメリカ人であるイサム・ノグチが生み出したAKARIは、西洋風のインテリアに日本文化の影響を受けたアイテムをコーディネートするうえでうってつけの一品といえるでしょう。なお、日本で伝統的に使用されている提灯はどちらかといえば室外照明で用いられるケースが多いため、室内照明として用いた際にはミスマッチな状況が多いことも留意しておく必要があります。
箪笥
たんすは衣類や道具を収納するために作られた木製の家具で、日本では江戸時代に普及しました。主に使用される木材は高級素材である桐を筆頭に、スギ、サクラ、ケヤキ、ナラなどがあげられます。収納するものによって多種多様な箪笥が存在しますが、西洋風のインテリアで取り入れるとしたら一番導入しやすいのは衣装箪笥ではないかと思います。衣装箪笥は収納のために引き出しを備えていることが大きな特徴で、そのことによりワードローブよりもあまり縦幅を取らずに多くの衣類を収納することが可能となっており、上部の空間的余白を生み出すことにも貢献しています。そのことはその特徴的な意匠とも相まって、日本的な空間インテリアを演出するうえで非常に有効です。
Kakejiku
掛け軸は、書や東洋画を室内で楽しむためのアイテムです。元来は仏教を広めるための宗教画としての意味合いが強かったのですが、時代を経るごとにモチーフも多様化して風景や花などの植物、筆跡などが取り入れられることとなります。日本ではとりわけ室町時代に千利休が場面の格式を表現するうえで茶室における掛け軸の重要性を唱えたことにより、爆発的に流行することとなります。日本の住空間において掛け軸は床の間と呼ばれる床よりも一段高く段差を設けられた特殊空間に飾られることが多いのですが、西洋式のインテリアで床の間から用意することは現実的ではないので、まずは通常の絵画を飾るのと同じ感覚で取り入れてみても全く問題がないでしょう。ただし掛け軸のモチーフによっては、その内容が持つメッセージや使用されるシチュエーションが異なりますので、その点を理解することでよりご自身のインテリアにマッチした掛け軸を選ぶことが可能になります。
のれん
のれんは日よけや空間の仕切りのために用いられる布で、日本では商店の入り口に屋号を書いたものが広く用いられていますが、室内でも部屋の境界を柔らかく仕切る目的で使用されることも多々あります。室内で使用されるのれんとしては、日本の入浴施設入り口において男女それぞれの浴場入り口を外から仕切るために利用されているのれんがよく知られています。もしインテリアにのれんを導入することを検討するのであれば、あまり日本風の柄の個性が強いものではなく、麻などを素材とした単色のものからコーディネートしていくことをお薦めします。こちらで様々なタイプののれんが出品されてますので、よかったら見てみてください。
畳
最後にご紹介するのはタタミマットです。畳はこちらの記事でもご紹介した通り、古くは奈良時代から使用されている日本の「室内で床に座る」文化が生み出した伝統的な床素材です。自然素材を用いている点や通気性の良さ、何より畳が醸し出す静謐なトーンなどから、海外でも以前から一部のファンの支持を得ていました。しかし、従来型の畳はあらかじめ決められた採寸の床にはめ込む形で実装する必要があったため、家を建築する段階でその導入を考慮に入れなければならないなど、導入の障壁が高い点が難点として挙げられていました。そこで近年になってから開発されたのがタタミマットです。畳が持つ機能や見た目の特徴はそのままに、あなたがくつろぎたい場所に対してラグのように気軽に敷くことが可能です。また、色のバリエーションやテクスチャもバリエーション豊かなので、西洋風のインテリアとも違和感なくコーディネートできることが可能となっています。私たちInterra USAでもあなたの期待に応えられるような様々な対応のタタミマットを用意してますので、よかったらチェックしてみてくださいね。
結論
今回は西洋風のインテリアでも工夫次第で違和感なくコーディネート可能な、10種類の和風インテリアアイテムをご紹介しました。皆さんの気になったものはありましたでしょうか?今回紹介したアイテムは工夫次第でどのようなインテリアにも合わせることが可能だとは思いますが、特に前回の記事でご紹介したJapandi Styleとの親和性が高いものとなっています。今回ご紹介したアイテムのほとんどが自然素材をベースに作られている点や、余計な装飾を持たないミニマリズム的なコンセプトを根底に持つため、それらを標榜するJapandi Styleとの相性が良いのにも納得ですね。
それでは今回の記事はここまでにしたいと思います。次回もインテリア好きの方に楽しんでいただけるような記事を用意してますので、楽しみにしていてください!
参照リンク:
障子 – Wikipedia
ジャパンディスタイルにもぴったり。「障子」の基本と使い方アイデア | 用語解説 | 家づくりの基本 | Replan(リプラン)WebMagazine
布団 – Wikipedia
ソファーベッドでスペースを有効活用! 長年使って実感したメリット・デメリットと選び方のポイント|暮らし方から物件探し
盆栽 – Wikipedia
華道 – Wikipedia
Ikebana: Japanese Art of Flower Arrangement | Bouqs Blog
Zaisu – Wikipedia
日本と世界の「座る」歴史|健康の雑学|元気通信|養命酒製造株式会社
イサム・ノグチ – Wikipedia
イサムノグチの照明 AKARI(あかり)| 照明の通販はマルゲリータ
箪笥 – Wikipedia
掛軸 – Wikipedia
掛け軸にはどんな種類があるの?掛け軸の選び方と図柄の意味まとめ | バイセル公式
暖簾 – Wikipedia