ジャパンディ(Japandi)スタイル完全ガイド – インテリアに無理なく取り入れる方法をご紹介します

June 26, 2024
スタイリッシュなソファ、アームチェア、家具、美しい装飾品、茶色のアクセサリーを備えたモダンなリビングルームのインテリアデザイン。

快適なインテリアスタイルをいろいろと検討されている方にとって、ジャパンディ(Japandi)という言葉はもはやなじみ深い言葉となっているかもしれません。聞き慣れない方のために説明すると、ジャパンディとは北欧と日本の様式を掛け合わせて生まれたインテリアスタイルの一種で近年のデザイントレンドとなっています。ジャパンディはシンプルで居心地の良い快適な空間設計が特徴となっており、そのデザインインスピレーションの元となっている北欧諸国や日本ではもちろんのこと、アメリカ、イギリス、オーストラリア、オランダなどでも広く人気の高まりを見せています。特にアメリカでは、Google Trendsによると「Japandi」での検索回数は2020年末から2021年初頭にかけて上昇を始め、2024年6月現在でもまだ勢いに衰えを見せていません。また多くの専門家はこのブームを一過性のものではないとみています。というのも、ジャパンディというキーワードが誕生したのはごく最近のこととはいえ、このコンセプト自体の誕生は実は100年以上も前に遡ることができ、さらにそこから長い年月を経てじっくりと育まれたものだからです。

ジャパンディがここまで注目を集めているのは様々な理由が考えられますが、大きな理由の一つとしては皆様の記憶にも新しいCOVIDの影響が考えられます。情報が氾濫するせわしないライフスタイルに疲れた人々が癒やしの場を慢性的に求めていた中で突然発生したパンデミックは、人々の癒しに対する渇望をさらに促進させました。さらにコロナのため自宅待機を余儀なくされた人々は「住空間をより快適な場所にしたい」というニーズを高めることとなり、それがジャパンディへの注目に繋がったと考えられます。また、人々の環境意識への高まりもジャパンディへの注目が集まった一因とされています。というのも、ジャパンディで採用される家具などのアイテムは木や竹などの天然素材や再生素材などサステイナブルなものが用いられることが多く、このことがサステイナブルなライフスタイルを志向する人々の関心を集めたようです。

今回の記事では、そんなジャパンディについて様々な角度から掘り下げてみたいと思います。

INDEX

 

ジャパンディ(Japandi)って何?

わびさびに拘ったミニマリスト風インテリア

先にジャパンディとは「北欧と日本の様式を掛け合わせて生まれたインテリアスタイルの一種」と述べましたが、これはどういう意味でしょうか?具体的には北欧インテリアデザインが標榜する「hygge」というコンセプトと、日本のインテリアデザインが持つ「wabi-sabi」というコンセプトの融合だといえます。もう少し掘り下げて説明しましょう。「hygge」とは居心地がよく快適な空間であることを表現するデンマーク語で、物質で満たされるのではなく、人とのふれあいやリラックスした時間で満たされることを大切にした考え方を表したものです。一方、「wabi-sabi」は、質素なものや老いて枯れたもの、すなわち不完全なものの中に奥深さや豊かさなどを感じる日本特有の美意識です。これらが融合することで生まれたジャパンディスタイルは、ミニマリズム的な考え方のもとに無駄なものを配した機能的なデザインと快適さを両立したインテリアデザインとなっています。その他の特徴としては、落ち着いた色調や天然素材の採用が挙げられます。

北欧諸国と日本という距離的には遠く離れた文化圏のデザインスタイルがなぜここまで見事に融合したのでしょうか?それには理由があります。実は北欧と日本のインテリアデザインには共通した価値観が存在しておりそれが両コンセプトの自然な融合を促進したといわれてます。その価値観とは共にシンプルさと機能性にデザインの価値を強く見出している点です。また家具などに天然素材を多用する点や卓越した工芸品を生み出す熟練した職人技術(クラフトマンシップ)を尊重している点も両者で共通している価値観といえます。このような共通した価値観を持ちえた理由としては、これらの地域で育まれた生活スタイルがともに国内の厳しい自然環境の影響を強く受けたためといわれています。北欧では厳しい寒波がそれに該当しますし日本では四季によって大きく異なる環境の変化がそれに該当すると思われます。その結果として両者ともそのような自然環境をむしろ受け入れたうえで心地よく生活する方法を模索することになり、その過程で似たような価値観にたどり着いたのではないかといわれています。

ただし、根底の価値観では共通している北欧と日本のインテリアデザインですが異なる部分もあります。そのうちの一つとして色の選び方があります。北欧のインテリアデザインは薄目で寒色のカラーパレットを採用することが多いのに対し、日本のインテリアデザインは自然由来の茶色やベージュ、クリーム色などの落ち着いた暖色のカラーパレットを導入することが多いうえ、さらにアクセントとして濃いめの茶色などを採用します。この点がジャパンディをこれまでの北欧インテリアデザインと比較してユニークなものにしている要素の一つといえます。

ちなみにジャパンディではアイテムの選び方で北欧と日本いづれかのスタイルを強調することも可能です。例えばキャンドルや手触りの良いブランケットは北欧スタイルの快適さを強調するのに有効なアイテムといえます。一方で手作りの陶器や花瓶、畳などは日本的なwabi-sabiを感じさせるアイテムだといえます。ジャパンディをあなたのインテリアに取り入れるにあたってどちらのスタイルを色濃く反映させるかはあなた次第です。ミニマルで機能的であるという共通コンセプトを踏まえながら、あなた好みのジャパンディスタイルをいろいろと模索してみましょう。

ジャパンディが生まれた歴史

冒頭で、ジャパンディの誕生は実は100年以上も前に遡ることができる、と述べましたが、ジャパンディを昨今発生したブームととらえている方には少し意外な事実かもしれません。しかし歴史を紐解いてみるとそこには興味深い事実がありました。時は遡って1860年頃、鎖国を解禁したばかりの日本に訪れたデンマークの海軍中尉であるWilliam Carstensenはそこで様々な日本の文化に魅了されてしまいます。デンマークに戻った後に彼はその経験を基に「Japan’s Capital and the Japanese」という本を出版し、この本が北欧にいた当時のデザイナーの好奇心に火をつけます。この本に触発された彼らの一部は日本を訪れ、そこで自分たちが大切にしている価値観(ミニマリズム、シンプルさ、自然の美しさ)を日本の職人たちもその職人技術の中で実践していることを知ることになるのです。ここから現在まで日本と北欧における相互的なデザインの影響関係は途切れることなく続き、これが近年ブームとなっているジャパンディへ結実することとなるのです。このようにとらえるとジャパンディは非常に時間をかけて熟成されたデザインスタイルといえるかもしれません。

インテリアにジャパンディを取り入れるには?

畳を使ったジャパンディスタイルの部屋

ここまでジャパンディの基本コンセプトからその生い立ちまでを駆け足で紹介してみましたが、ここでは実際にジャパンディをインテリアに取り入れるために注目したいポイントをいくつかご紹介します。

  1. 部屋の整理
    ジャパンディスタイルをインテリアに採用するうえでミニマリズムは基本コンセプトとなります。「less is more」をスローガンとして、まずはいらないものを片付けるところから始めてみましょう。その際は、近年話題になった 近藤麻理恵さんの片付けメソッドが参考になります。
  2. 自然で落ち着いた色調の採用
    派手な色調は避けて自然由来の茶色やグレーなどの中間色を選びましょう。アクセントカラーを使用するのであれば落ち着いた濃いめの茶色や緑を採用することをお薦めします。
  3. 天然素材でできたアイテムの導入
    収納家具や椅子、テーブルなどは天然素材で作られたものを取り入れてみましょう。考えられる素材としては、木材(walnut, acorn, teak)、竹、石、和紙、リネン、藤などが挙げられます。職人による手作りの陶器もジャパンディのコンセプトを体現するアイテムとして非常に有効です。
  4. 空間における余白の演出
    空間設計において意図的に何もない空間を設定しそこに美を見出すのは日本のインテリアデザインの影響下によるものです。空間内に配置された各アイテムの余白を十分にとったデザインを心掛けましょう。花瓶に生けた植物を適切に配置することでこのような空間演出がさらに強調されます。
  5. 機能性の追求
    空間内に配置されているそれぞれのアイテムの目的を明確にしましょう。単に装飾的な意味で配置されているアイテムがあるとしたらそれはジャパンディのコンセプトとは相いれないものとなります。その際に選ばれる家具類のシェイプもすっきりしたラインのものが好まれます。またそうしたアイテムに更なる機能性が付与されているとしたらそれはジャパンディのコンセプトと親和性の高いものとなります(例:サイドテーブルとしても使えるstool、収納機能付きソファなど)。
  6. 自然との調和
    自然との調和はジャパンディが大切にしているコンセプトの一つです。このことが快適な空間設計にもつながります。具体的な手段としては、自然光を室内に多く取り入れることやプランターなどで植物を室内に配する事が挙げられます。
  7. ジャパンディのコンセプトが反映されたアイテムの導入
    先にも述べた通りクラフトマンシップへのリスペクトもまたジャパンディの重要な要素の一部です。ですので、職人の手による長持ちする質の高い家具の導入などはジャパンディ的な住空間の演出に大きな役割を果たします。またジャパンディのコンセプトに合致した商品を扱っているブランドもいくつか存在します。これらは初めて自宅にジャパンディスタイルの導入を検討されている方にとっては非常に頼もしい味方です。著名なブランドをいくつかご紹介しますので、よかったら参考にしてみてください。

またEtsyでも「Japandi」というキーワードで検索すると様々なアイテムがリストアップされますので、ざっくりとジャパンディが持つ雰囲気を把握するのに非常に役に立ちます。

さらにジャパンディは北欧と日本のインテリアデザインを掛け合わせて生まれたデザイン様式なので、それぞれのデザインスタイルで採用されている北欧由来のキャンドルやブランケット、日本由来の陶器、花瓶、畳などのアイテムは当然ジャパンディスタイルとの相性も抜群です。その中でもし畳の導入を検討されているのであれば、こちらのTatami Matがお薦めです。こちらは伝統的な畳とは異なり1枚当たり32.3″ x 32.3″のマット状で提供されているため、住空間の広さに合わせてフレキシブルにコーディネートすることができます。また色のバリエーションが豊富なため、西洋的な空間デザインの中に無理なく和の要素を調和させることが可能となっています。ですのでジャパンディスタイルをこれから取り入れたい方にとってはぴったりのアイテムとなっています。

結論

今回は、インテリアデザインに関心の高い方の間でまだまだ話題を呼んでいるジャパンディについて取り上げてみました、いかがだったでしょうか?私は今回の記事を執筆するまで北欧と日本という遠く離れた場所で生まれたデザインコンセプトになぜこのようなシナジーが生まれたのかが不思議だったのですが、両者が同じデザイン的価値観を共有していたことを知り驚かされるとともにこのことがユニークな融合を促進したことに非常に納得がいきました。今回ご紹介したジャパンディは自宅の住空間に癒しを求めている方にとってはお薦めのデザインスタイルとなっています。導入もそれほど敷居の高いものではないので、まずはジャパンディのコンセプトを取り入れたアイテムを少しづつ取り入れることであなた好みの空間を演出してみてはいかがでしょうか。

 

関連リンク:

The rise of ‘Japandi’ style
Japandi Style: Everything You Need to Know | Architectural Digest
わび・さび – Wikipedia
ヒュッゲ – Wikipedia
【北欧】ヒュッゲとは?日常に取り入れ幸せな暮らしを | 傘・レイングッズの通販 -LINE DROPS-
“Japandi” Style Is The Minimalist, Multi-Cultural Interior Design Trend That Shows No Sign of Stopping | Vogue
‘Japandi’: Why Japanese-meets-Scandi design is taking over the internet | CNN
What Is Japandi Interior Design? A Complete Guide
Is Japandi still on trend?
Everything You Need to Know About Japandi Style Interior Design
What is Japandi Style and Is is better than Wabi-Sabi? | TALLBOX
Popular Japandi Brands – TheDesigneur
What is Japandi Style and How Can You Create It At Home
basq by LARQ – What is Japandi Interior Design?
Japandi | What is Japandi?
A Beginners Guide to Japandi Style — minimalgoods
Expert’s Guide to Japandi Interior Design | Castlery US
8 Ways To Make Your Home Look & Feel More Japandi | Lick
Japandi Style – Scandinavian meets Japanese interior design